年収1000万の手取りは約720万円、月収60万円!その生活レベルとは?

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年収1000万の手取りは約720万円、月収60万円!その生活レベルとは?

年収1000万円の実際の手取り額は、一般的に約720万円、手取り月収にすると約60万円が目安です。
ただし、この金額は家族構成や各種控除によって変動します。

この記事では、2級FP技能士かつ資産形成コンサルタントである筆者が、以下について解説します。
この記事でわかること

  • 年収1000万円の手取り額、月収
  • 年収1000万円の税金や社会保険料
  • 家族構成別の手取り月収シミュレーション

年収1000万円を目指すための具体的な方法もばっちり理解できるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

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目次

年収1000万の手取りはいくら?年間の手取り額と月収を解説

年収1000万円と聞くと非常に裕福なイメージがありますが、実際に自由に使える「手取り額」はいくらになるのでしょうか。結論から言うと、年収1000万円の場合、年間の手取り額は約700万円〜750万円、手取り月収に換算すると約58万円〜62万円が目安です。これは、独身で特別な控除がない場合を想定した一般的な金額です。

実際の手取り額は、扶養家族の有無や生命保険料控除、iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入状況など、個人の状況によって変動します。この記事の後半では家族構成別のシミュレーションも紹介しますが、まずは「額面の8割弱が手取りになる」と大まかに理解しておくと良いでしょう。

ボーナスあり・なしで月々の手取り月収は変わる

年収1000万円の内訳が「月給+ボーナス」なのか、あるいはボーナスなしの「年俸制」なのかによって、毎月の手取り額は大きく変わってきます。年間の手取り総額はほぼ同じですが、月々のキャッシュフローに違いが生まれるため注意が必要です。

例えば、ボーナスが年間200万円支給される場合、月給は約67万円となります。ここから税金や社会保険料が引かれ、手取り月収は約50万円前後になるでしょう。一方、ボーナスなしの年俸制であれば、額面月収は約83万円となり、手取り月収は約60万円を超えてきます。

ボーナスがある場合は月々の手取りが少なくなる代わりに賞与としてまとまった収入が得られ、ボーナスがない場合は月々の手取りが多くなるという特徴があります。ご自身の給与体系を確認し、月々の生活設計を立てることが重要です。
なお、ボーナス(賞与)からも所得税や社会保険料はしっかりと天引きされます。

年収1000万円は額面であり手取りではない

大前提として、求人情報や会話で使われる「年収」は、税金や社会保険料が引かれる前の「額面年収(総支給額)」を指します。実際に銀行口座に振り込まれ、私たちが自由に使えるお金は「手取り年収(可処分所得)」と呼ばれ、額面年収とは異なります。

額面年収から天引きされる主な項目は、「所得税」「住民税」といった税金と、「健康保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」などの社会保険料。これらの合計額が額面年収から差し引かれた金額が、最終的な手取り額となります。

したがって、年収1000万円=1000万円を自由に使える、という意味ではないことを正確に理解しておくことが、リアルな生活レベルを把握する第一歩です。
具体的に何がいくら引かれるのかについては、次の章で詳しく解説します。

年収1000万円から天引きされる税金と社会保険料の内訳

年収1000万円といっても、その全額が手元に残るわけではありません。給与からは税金と社会保険料が天引き(控除)され、その差引後の金額が「手取り額」となります。
ここでは、年収1000万円の給与から一体何がどれくらい引かれているのか、その内訳を詳しく解説します。

天引きされる税金1 所得税

所得税は、個人の1年間(1月1日〜12月31日)の所得に対して課される国税です。所得税の計算は「課税所得 × 税率 – 税額控除」で算出されます。課税所得とは、年収(額面)から給与所得控除や基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除などの各種所得控除を差し引いた金額のことです。

所得税は「累進課税制度」が採用されており、所得が高くなるほど税率も段階的に上がります。
年収1000万円の場合、給与所得控除額は上限である195万円が適用されます。扶養家族の有無などによって課税所得は変動しますが、日本の所得税率は5%から最高45%まで7段階に分かれています。

天引きされる税金2 住民税

住民税は、お住まいの都道府県および市区町村に納める地方税です。教育、福祉、防災など、地域の行政サービスを維持するために使われます。住民税は、前年の所得に応じて課税される「所得割」と、所得にかかわらず定額が課される「均等割」の2つから構成されています。

所得割の税率は、基本的に全国一律で約10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)です。均等割は自治体によって多少異なりますが、年間5,000円程度が一般的です。住民税は前年の所得を基に計算されるため、社会人2年目や、前年に収入が大きく増えた翌年に負担が重く感じられることがあります。

天引きされる社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険など)

社会保険料は、病気やケガ、失業、老後といった生活のリスクに備えるための公的な保険制度の費用です。会社員の場合、主に「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「介護保険(40歳以上)」の4つが給与から天引きされます。

これらの保険料は、給与や賞与を基に算出される「標準報酬月額」や「標準賞与額」に、定められた保険料率を掛けて計算されます。健康保険料と厚生年金保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担(労使折半)します。年収1000万円の場合、健康保険料と厚生年金保険料は上限額に達することが多く、収入がそれ以上増えても保険料は変わらないケースがあります。

【家族構成別】年収1000万の手取りシミュレーション

同じ年収1000万円でも、家族構成によって手取り額は変わります。これは、配偶者や扶養家族の有無によって「所得控除」の額が変動し、最終的に納める所得税や住民税の金額が変わるためです。ここでは、代表的な3つの世帯モデルについて、具体的な手取り額をシミュレーションしてみましょう。

※以下のシミュレーションは、東京都内在住・40歳未満・ボーナスなし・協会けんぽ加入・その他の控除(生命保険料控除など)は考慮しない、という条件で計算した目安の金額です。

独身世帯の手取り額

扶養家族がいない独身の場合、適用される主な所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみです。そのため、他の世帯構成と比較して税金の負担が最も大きくなります。

年収1000万円の独身世帯の場合、年間の手取り額は約725万円、月々の手取り額は約60万円が目安となります。税金と社会保険料で、年間約275万円が額面給与から天引きされる計算です。

配偶者あり(扶養内)の場合の手取り額

年収103万円以下の配偶者がいる場合、「配偶者控除」が適用され、所得税や住民税の負担が軽減されます。これにより、独身世帯よりも手取り額が増加します。

配偶者を扶養している場合、年間の手取り額は約736万円、月々の手取り額は約61万円が目安です。配偶者控除の適用により、独身の場合と比較して年間で10万円以上手取りが増えることになります。

配偶者と子供1人(扶養内)の場合の手取り額

配偶者に加えて16歳以上の子供を扶養している場合、「配偶者控除」と「扶養控除」の両方が適用されます。控除額がさらに大きくなるため、3つのモデルケースの中では最も手取り額が多くなります。

配偶者と子供1人(16歳以上)を扶養している場合、年間の手取り額は約747万円、月々の手取り額は約62万円が目安となります。このように、扶養家族の人数が手取り額に直接影響を与えることがわかります。

年収1000万のリアルな生活レベルは苦しい?家計簿をシミュレーション

年収1000万円と聞くと非常に裕福な暮らしをイメージするかもしれませんが、「意外と生活が苦しい」「税金が高くて手元に残らない」といった声も少なくありません。果たしてその実態はどうなのでしょうか。
ここでは、手取り月収を約60万円と仮定し、具体的な家計簿をシミュレーションしながらリアルな生活レベルを解説します。

適正な家賃や住宅ローンの目安

住居費は家計における最大の固定費です。一般的に、家賃の目安は手取り月収の3分の1程度と言われています。手取り月収60万円の場合、約20万円が家賃の上限目安となります。

家賃20万円であれば、東京都心部でも1LDKやコンパクトな2LDKの物件を探すことが可能です。少し郊外に出れば、より広く新しいファミリータイプのマンションや、一戸建ての賃貸も視野に入ってくるでしょう。ただし、管理費や共益費も考慮して物件を選ぶ必要があります。

住宅ローンを組む場合、年収の5〜7倍が借入額の目安とされます。年収1000万円なら5,000万円〜7,000万円程度のローンを組める可能性がありますが、金利の変動リスクや将来の教育費なども考慮し、無理のない返済計画を立てることが極めて重要です。

食費や娯楽費など生活費の内訳

住居費以外の生活費は、家族構成によって大きく変動します。ここでは独身世帯と夫婦・子ども1人の世帯のモデルケースを見ていきましょう。

【独身世帯の家計簿シミュレーション(手取り月収60万円)】

  • 家賃:15万円
  • 食費:8万円(外食含む)
  • 水道光熱費:1.5万円
  • 通信費:1万円
  • 交際費・娯楽費:8万円
  • 雑費(日用品・衣類など):3.5万円
  • 自己投資(書籍・ジムなど):4万円
  • 貯蓄・投資:20万円

【夫婦・子ども1人世帯の家計簿シミュレーション(手取り月収60万円)】

  • 住宅ローン:18万円
  • 食費:10万円
  • 水道光熱費:2.5万円
  • 通信費:1.5万円
  • 保険料:2万円
  • 教育費(習い事・学資保険など):5万円
  • 交際費・娯楽費:5万円
  • 雑費(日用品・おむつ代など):4万円
  • 貯蓄・投資:12万円

このように、家族構成によって可処分所得の使い道は大きく異なり、特に子育て世帯では計画的な支出管理が求められます。決して毎日贅沢ができるわけではないことが分かります。

車は持てる?購入や維持費の目安

年収1000万円であれば、車の所有は十分に可能です。一般的に、車の購入予算は年収の半分程度が目安とされており、500万円前後の車が選択肢に入ります。この価格帯であれば、トヨタのクラウンやハリアーといった国産高級車や、メルセデス・ベンツやBMWなどの輸入車も購入を検討できるでしょう。

ただし、車は購入費用だけでなく維持費も考慮しなければなりません。駐車場代(都心部では月3〜5万円以上)、ガソリン代、自動車保険、税金、車検費用などを合わせると、年間で数十万円のコストが発生します。特に都心部では駐車場代が大きな負担となるため、ライフスタイルに合わせて所有の要否を判断するのが賢明です。

年間の貯金額はどれくらい?

将来の安心のためには、計画的な貯蓄が不可欠です。一般的に、手取り収入の15〜20%を貯蓄に回すのが理想とされています。年間の手取り額が約720万円の場合、その20%は144万円、月々に換算すると12万円となります。

先の家計簿シミュレーションでは、独身で月20万円、子育て世帯で月12万円を貯蓄・投資に回すモデルを示しました。これは十分に実現可能な目標と言えます。年間で140万円〜240万円程度の貯蓄ができれば、将来の住宅購入の頭金や子どもの教育資金、そして自分たちの老後資金を着実に準備していくことができるでしょう。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)などを活用し、効率的に資産形成を進めることも重要です。

日本で年収1000万円を稼ぐ人の割合は何人に一人?

年収1000万円という響きには、多くの人が「成功者」や「お金持ち」といったイメージを抱くかもしれません。では、実際に日本で年収1000万円以上を稼いでいる人は、どのくらいの割合で存在するのでしょうか。
ここでは、公的なデータをもとにその実態に迫ります。

早見表をもとに実態を紹介

国税庁が発表している「令和4年分 民間給与実態統計調査」によると、日本国内の給与所得者のうち、年収1000万円を超える人の割合は全体の5.4%です。これは、およそ20人に1人という計算になります。

さらに男女別で見ると、男性が8.4%であるのに対し、女性は1.5%と大きな差があるのが現状です。このデータからも、年収1000万円という収入は、決して誰もが簡単に到達できるわけではない、希少な収入層であることがわかります。

年収1000万円を超えやすい職業や業界

年収1000万円を目指す上で、どのような仕事を選べばよいのでしょうか。一般的に、高収入を得やすいとされる職業や業界には次のようなものがあります。

代表的なのは、医師や弁護士、公認会計士といった高度な専門知識を要する職業です。また、外資系の金融機関やコンサルティングファーム、総合商社なども平均年収が高いことで知られています。近年では、IT業界も目覚ましく、特に専門性の高いITエンジニアやプロジェクトマネージャーなどは、実力次第で30代のうちに年収1000万円を超えるケースも少なくありません。

サラリーマンと自営業での職種の違い

年収1000万円の達成方法は、サラリーマン(給与所得者)と自営業(個人事業主・フリーランスなど)で大きく異なります。

サラリーマンの場合、大手企業の管理職や、前述したような平均年収の高い業界でキャリアを積むのが一般的なルートです。安定した組織の中で、着実に実績を重ねて昇進・昇給していくことが求められます。

一方、自営業やフリーランスの場合は、自身のスキルや専門性が直接収入に結びつきます。WebデザイナーやWebマーケター、コンサルタントなど、特定の分野で高い価値を提供できれば、会社員時代を大きく上回る収入を得ることも可能です。ただし、収入が不安定になりやすいリスクもあり、継続的に案件を獲得するための営業力や自己管理能力も不可欠です。

年収1000万円は目指せる?具体的な方法を紹介

年収1000万円は、日本の給与所得者全体で見ると上位に位置しますが、決して到達不可能な目標ではありません。正しい戦略と行動計画を立てることで、実現の可能性は大きく高まります。
ここでは、年収1000万円を目指すための具体的な方法を4つご紹介します。

現職での昇進・昇給を目指す

最も現実的で堅実な方法は、今いる会社でキャリアアップを目指すことです。まずは自社の給与テーブルや評価制度を正確に把握し、どの役職に就けば年収1000万円に到達できるのかを確認しましょう。その上で、目標達成に必要なスキルや実績を逆算し、日々の業務で成果を出すことが重要です。上司との定期的な面談でキャリアプランを共有し、昇進・昇給に向けた具体的なフィードバックをもらうことも有効な手段です。

副業で収入の柱を増やす

近年では、副業を認める企業が増えており、本業以外の収入源を確保することも一つの選択肢です。本業で培ったスキルを活かせる副業、例えばWebデザイン、プログラミング、ライティング、コンサルティングなどは高単価を狙いやすいでしょう。本業の収入に加えて年間200万円から300万円の副収入を得られれば、年収1000万円の達成はぐっと近づきます。ただし、本業に支障が出ないよう、時間管理と体調管理を徹底することが成功の鍵となります。

専門スキルを習得し市場価値を高める

年収1000万円を超える人材には、高度な専門性が求められます。IT分野のAI・データサイエンス、語学力を活かした海外営業、金融の専門知識、あるいは部下を率いるマネジメントスキルなど、需要が高く、代替が難しいスキルを身につけることで、あなたの市場価値は飛躍的に向上します。社会人向けのスクールやオンライン講座などを活用し、戦略的にリスキリング(学び直し)に取り組むことが、高年収への近道となります。

ハイクラス向けの転職サービスを活用する

現在の職場で大幅な年収アップが見込めない場合は、転職を視野に入れるのが最も効果的です。特に年収1000万円以上の求人は、企業の戦略に関わる重要なポジションが多いため、一般には公開されない「非公開求人」として扱われるケースが非常に多いです。そのため、ハイクラス層を専門とする転職エージェントや、企業から直接スカウトが届く転職サイトへの登録が不可欠です。リクルートダイレクトスカウトやビズリーチ、あるいはマイナビエージェントのような大手サービスでは、専門のキャリアアドバイザーがあなたの経歴に合った高年収求人を紹介してくれます。

まとめ:年収1000万の手取りは世帯により異なる

年収1000万円の額面収入は魅力的ですが、実際に受け取れる手取り額は税金や社会保険料が引かれるため、約720万円、月収換算で約60万円が目安です。しかし、この金額はあくまで一例に過ぎません。

手取り額が変動する最大の理由は、扶養家族の有無による所得控除額の違いです。独身か、配偶者や子供がいるかによって税金の負担が変わり、手取り額も数十万円単位で変化します。

本記事で解説した年収1000万円は目指す具体的な方法を参考に、ご自身の状況に合わせた家計管理や資産形成プランを立てていきましょう。

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